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空き家3,000万円特別控除とは?適用要件や緩和された内容、注意点まで解説!

空き家の3,000万円特別控除制度は、親から相続した住宅などを売却する際に適用できる税制優遇です。この特例を使うことで、譲渡所得から最大3,000万円の控除が受けられます。

 

令和9年まで延長されたこの制度は、空き家解消の一助として、適用要件も以前より緩和されています。適用にはいくつかの条件があり空き家の建物を取り壊すことが必要ですが、他の税制優遇制度と併用できるケースもあるため、併用できる制度をうまく活用することがポイントです。

 

本記事では、空き家の3,000万円特別控除とは何かや適用要件、併用できる制度、注意点について解説します。

 

ぜひ最後までお読みください。

空き家の3,000万円特別控除とは

空き家の3,000万円特別控除(以下、空き家特例)は、相続した空き家を売却する際に適用できる税制優遇制度です。この特例を利用すると、売却益から最大3,000万円を控除することができ、大きな節税効果が期待できます。

 

空き家特例は、相続により取得した空き家やその敷地を売却した際に、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる制度です。この特例は、空き家問題の解決を目的として平成28年に創設されました。

 

空き家の3,000万円特別控除の適用条件

空き家特例を適用するには、以下の主な要件をすべて満たす必要があります。

 

  • 空き家と敷地を相続または遺贈により取得したものであること
  • 相続開始直前まで被相続人が一人で居住していた家であること
  • 昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること
  • 区分所有建物(マンション等)でないこと
  • 相続開始日から3年を経過する日の年末までに売却すること
  • 売却代金が1億円以下であること
  • 相続時から売却時まで事業用・貸付用・居住用として利用していないこと
  • 家屋が一定の耐震基準に適合していること、または取り壊して更地にして売却すること

 

空き家特例は、相続した空き家の売却時に大きな税負担軽減効果をもたらす可能性があります。ただし、クリアすべき要件が複雑なため、適用する際には専門家に相談しながら慎重に検討すると良いでしょう。

令和9年まで特例延長へ、要件も緩和

空き家特例については、特例措置の適用期間が当初の2023年(令和5年)12月31日から4年間の延長となり、2027年(令和9年)12月31日まで延長されました。

 

要件もいくつか緩和されています。

 

  • 譲渡後の耐震改修や取り壊しも対象
  • 相続人が3名以上の場合の特別控除額が2,000万円に

 

2024年(令和6年)1月1日以降の譲渡から、売買契約に基づき、譲渡後に買主が耐震改修工事や取り壊しを行う場合も特例の対象となりました。ただし、この工事や取り壊しは、譲渡の日の属する年の翌年2月15日までに完了する必要があります。

 

また、2024年(令和6年)1月1日以降の譲渡で相続人が3名以上の場合、特別控除額は1人あたり2,000万円となります。

 

その他、今までの適用条件に変更はありません。

 

特例の延長や要件の緩和で、空き家の譲渡に関する特例措置がより利用しやすくなり、適用期間も延長されたことで、空き家問題の解決に向けた取り組みが強化されました。

空き家特例と併用できる制度

空き家特例と併用できる制度には、以下のようなものがあります。

 

  • 居住用財産の3,000万円控除(同一年に適用する場合、両者を合わせて3,000万円が控除限度額)
  • 特定居住用財産の買換え特例
  • 居住用財産の譲渡損失の繰越控除等
  • 特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除等
  • 住宅ローン控除
  • 認定住宅の新築等の所得税額の特別控除

 

ただし、これらの特例は同時に複数適用することはできず、いずれか1つを選択する必要があります。

 

また、特定居住用財産の買換え等に係る特例措置と併用する場合は、自宅の譲渡価格が1億円以下である必要があります。

 

空き家特例と他の制度を併用する際は、それぞれの適用要件や適用期限が異なる場合があります。特例の適用を確実に受けるためには、専門家に相談するようにしましょう。

空き家特例の適用には建物の取り壊しが必要

空き家特例は、空き家問題の解決を主な目的としています。老朽化した空き家を放置すると、さまざまな問題が起こる可能性があるからです。

 

  • 防災上の危険性
  • 治安の悪化
  • 景観の悪化
  • 地域のイメージ低下

 

これらの問題を解決するためにも、空き家の取り壊しが必要です。

 

老朽化した建物は耐震性や防火性が不十分な場合が多く、取り壊すことで安全性を確保できます。

 

また、古い建物を取り壊すことで不審者の侵入を防いだり、景観を高めたりするだけでなく、地域のイメージも高められます。

 

さらに、取り壊しを条件とすることで、新たな空き家の発生を防ぐ効果にも繋がります。

 

そのため、空き家特例の適用には建物の取り壊しが必要なのです。

建物を取り壊すときの注意点について

空き家を取り壊して空き家特例を適用するためには、いくつか注意点があります。

 

ここでは建物を取り壊す際の注意点について解説します。

解体のタイミングに注意する

空き家特例を適用する際、解体のタイミングは非常に重要です。原則として、売却前に空き家を解体することは特例適用の要件の1つですが、早すぎる解体は固定資産税の増加や特例適用に影響を与えるリスクがあります。

 

建物を解体すると、翌年から固定資産税が最大6倍に増加する可能性があります。これは、住宅用地特例による減税が適用されなくなるからです。

 

空き家特例は、相続した空き家とその敷地を売却することが前提です。解体が早すぎたことで売却時に「空き家」が存在しない状態になると、特例が適用されない可能性があります。

 

また、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却する必要があります。早すぎる解体により、この期限内に売却できない場合は特例が適用されません。

 

早すぎる解体は特例適用が難しくなる可能性があることから、専門家に相談しながら、適切なタイミングで解体するようにしましょう。

家の売却額と解体費用の合計に注意する

空き家特例の適用要件の1つとして、売却額が1億円以下であることが定められています。ここでいう売却額は単なる不動産の売却価格だけでなく、買主が負担する解体費用も含まれます。そのため、家の売却額と解体費用の合計に注意する必要があるのです。

 

例えば、空き家を9,800万円で売却し、買主が500万円の解体費用を負担した場合、合計額は1億300万円となります。この場合、合計額が1億円を超えてしまうため、3,000万円特別控除の適用要件から外れてしまいます。

 

このように合計額が1億円を超えてしまうと、結果として税制優遇を受けられなくなります。そのため、売却価格や解体費用の負担について、事前に確認する必要があります。

買主が解体費用を負担する場合

2024年1月1日以降の譲渡から、買主が建物を取り壊す場合も特例の対象となりました。しかし、空き家特例を適用させる場合、買主が解体費用を負担する際も気をつけなくてはならないことはあります。

 

空き家特例の適用条件として、売却額が1億円以下であることが求められますが、空き家を9,800万円で売却し買主が500万円の解体費用を負担した場合、合計額が1億300万円となります。この場合、売却額が1億円を超えてしまうため、特例の適用条件が適用されなくなってしまうのです。

 

このような状況を避けるために、不動産売買契約書の特約に基づき引き渡し前に買主の負担で建物を撤去することを明記して、売却額に含めないようにすると良いでしょう。

 

ただし、解体は売却日の属する年の翌年2月15日までに完了する必要がありますので、解体のタイミングには気をつけましょう。

まとめ

空き家特例は、相続した空き家を売却する際に最大3,000万円の控除が受けられる制度で、令和9年まで延長され、要件が緩和されています。

この控除の適用には建物の取り壊しが必須であり、解体費用も含めた売却の条件やタイミングを慎重に検討する必要があります。

他の税制優遇制度と併用できる制度ですが、このような税制優遇制度を適用する場合、計画的に進めることがポイントです。

 

空き家の売却を検討中の方は、制度の内容を確認し専門家に相談した上で、適用させるようにしましょう。